驚きました。火垂るの墓で初めてご一緒に仕事をしましたがその前に一度、お会いして話をした経験が未だに強烈に記憶に残ってます。まるで昨日のことのように……。それは話した内容もですが僕が物凄く緊張したからなんです。高畑さんの作品を子供の頃から見てファンでしたから御本人にお会いしたら、それは頭真っ白になります。当時、会った経由はジブリの鈴木さんから呼ばれてジブリにお邪魔したんです。「高畑さんと会いませんか、高畑さんにロボットカーニバルのプレゼンスを見せた。感想を話したいと言っている」と。高畑さんからどんな感想をいただいたかは今も覚えています。作画に関して僕が人の芝居、動きを観察して原画を描いていたことを指摘されて、ちょっと褒めてくれました。「頭の中の想像で原画を描く作画さんが多い。ちゃんと観察すべきだ」と言ってましたね。僕も同感だったので内心嬉しく思ってました。作品感想も語ってくれましたが秘密にします。この時の高畑さんの印象は、こちらの考えを全て見透かされてる気がする……でした。適当な思いつき
で答えると、違うよね、と言われてるような洞察感と言うか…そんな印象でした。後から鈴木さんは「梅津君は緊張してたねぇ」と言ってたと聞き、やはりバレバレだなぁと恥ずかしくて仕方なかった思い出です。あの高畑さんとの数分間の会話は僕にとってとても影響力を与えてます。あらゆる意味で。昨年のロボットカーニバルのイベントでも少し披露しましたが僕にとって高畑さんは純粋に監督作品のファンなのでお会いできたことは大事な貴重な財産だと思ってます。いつか映画作品を作って高畑さんに見て欲しかったな、と考えてましたが間に合いませんでした。心残りです。ご冥福をお祈りいたします。長い間ありがとうございました。